高校を卒業してしばらくしてから

当時の友達と久しぶりに再会。

車何乗ってるの?

俺?86。

86かぁ、いいねぇ。俺、フェラーリ買おうと思ってるんだよね。

えぇ?! フェラーリ? 

カウンタックもいいんだけどねぇ・・・

今の会社そんなに給料いいの?

いや、会社は普通。 いいビジネスがあるのさ。

ビジネス?

山ちゃんはまだ学生だから話せないんだけど、卒業したら教えてあげるから。

何何々?何?! おしえろっツーの!

駄目駄目。勝手に教えちゃいけないんだ。

えぇー?何なの?その儲かるはなしっつーのは?



いくら聞いても最後まで教えてもらえず、当時、就職していた周辺の友達だけがその話を聞くことになる。







後日、その周辺の友達から内容が明かされる。

なんでも、アムウェイとかいう商売で、店舗はなく、友達を紹介して欲しい商品を買うだけでお金がもらえるというのだ。




はぁ?そんなわけ無いよね?いんちきくさくない?

しかも、その紹介する人数と購入金額によってランクがあり上のほうにいくと海外旅行や

印税収入等のとてつもない富が待っているとのこと





そんなの嘘に決まってるよ。詐欺だね詐欺。



いや、実際に元床屋の店長がBM、ポルシェを新車で買って家も新築してるんだって。



それは何を売ってるの?


鍋とかジュースとか、あと車のワックスもあるんだよね。


インチキくさいねぇ・・・・・



なんかあいつ、昔の友達みんなに片っ端から声かけて、「一緒にやろう」「一緒に成功しよう!」
って断っても断っても「とーして」「なんで」ってしつこいらしいよ。


まじかぁ・・・・







数年経過し、就職してすぐに、違う方面からアムウェイの誘いが来た。



あぁ、ねずみ講でしょ?



ちがうんだって。みんなそう言うんだけど、一回ミーティングに来てもらったら考え変わるから。



洗脳されるんでしょ?



それも違うんだって。洗脳じゃなくて、本来の商売の姿に気がつくんだって。



いや、俺はいいわ。友達いなくなるの嫌だから。


それも違うんだって。そんな事で居なくなるのは友達なんかじゃないんだって!


いやいや。結構です!




何年か経ち



家に帰るとアムウェイの洗剤がある。



母に聞いて見る。 



どーしたのこれ?


姉が持ってきた。


えぇ?!


姉に聞いて見る。


友達居なくなるんじゃないの?


あぁ、私は商品が良いから安く買える様に入っただけ。誰も紹介してない。


なるほど。そんなに良い商品なの?


そうだね。お店で売ってる商品ってじっくりその商品の説明を受けることなんてないでしょ?

特に歯磨き粉なんて店員すら知識薄いよね。 でもアムウェイは会員を集めて実験しながらその商品の良さを説明する。 研磨剤が無くてもここまで落ちるとか、研磨剤を使うとこうだ。とか。
だから、商品の良さが伝わる。って感じかな。


なんか、滅茶苦茶儲かるってきいたけど?


あぁ、ビジネスで儲かってる人は実際に沢山居るみたい。詳しいことはミーティングに行って説明を受けないとわかりにくいんだけど、簡単に説明すると良い商品をどんどん知り合いに勧めて、その自分から広まった売り上げが大きくなるとボーナスがもらえたりして それがもっともっと広まると巨額のボーナスがもらえたりするみたい。


そんなことってあるの?


Rちゃんが私の紹介者だから一回ミーティングに行って見れば?




そのビジネスの全容が知りたくなり、Rちゃんに連れられて初めてミーティングに出席した。





家賃15万ぐらいしそうなマンションの広い一室に廊下まで溢れる出席者30人以上居たと思う。

クーラーはついているもののさすがにこの人数ではおいつかない。


知らない人ばかりだし、正直帰りたかったが、とても帰れる雰囲気でもない。

その家のオーナーらしき夫婦が居て、そこに案内される

こちら、今日はじめて出席する山ちゃんです。

あ、はじめまして。よろしくお願い致します。

程なくミーティングが始まる。





皆さん、夢は持っていますか!

(お、いきなりきっつい・・・・・)

みんなで成功して幸せな人生にしましょうね!

(いったい何を言ってるんだ?宗教か?)

それでは一人ずつ前で夢を語ってもらいましょう。





はい、私はアムウェイで成功してこの隣の亭主がはやく今の仕事を辞めさせてあげるのが夢です。



次の方


はい、僕は友人の〇〇に紹介されて始めたんですが、将来の夢は自家用ヘリで〇〇君の家まで遊びに行ったり、週末は海外に行けるようになりたいです。










(こいつら・・・・完全に 逝ってるな・・・・・・・・)






はい、次はあなた。




え”っ!俺? いや、俺はいいです!




大丈夫。将来どうなりたいか言えばいいだけですから。




うわぁーたまんねぇ・・・・・・・・・



あ¥あおあかt あのぁ\\\ その。::」 まぁ、好きな車に乗れるようになれればいいなぁと思います。


うーん、いいじゃないですかぁ。その夢かなえましょうよ。


あ、あぁはい。







その後



食器洗剤のデモが始まる。



一枚の鏡に右と左で洗剤を分けて塗る

左が他メーカー

右がアムウェイ

どちらも汚れは落ちる

見せ場はここからだ。

水をさっとかけて

左はヌルヌル

右は綺麗にツルツル

見ていた参加者は同時に声を上げる

「おぉー!凄い!」

「すげぇー!」

「これはいい!」


初参加の私はとても声が出ない。

心の中で「へー・・・・」ってぐらいだ。



この残った洗剤は気がつかないで食べてるのと一緒ですよ。





うーんなるほど。 苦くはないけど、たしかにそうかもしれない。



(以下、商売の形態に方法に誤解や違いがあると怒られてしまいそうなので〇ウェイとします)



〇ウェイは体に優しく、環境に優しく。その人のためになる商品を売るんじゃないんです。教えてあげるんです。


〇ウェイのことを洗脳とか言う人がいます。 でも、考えてみてください。 あなたの会社で社長がふんぞり返って仕事もしないのに あなたが一生懸命残業して、お客さんに怒られて、それが当たり前なんじゃないですか? そっちのほうがよっぽど洗脳だと思いませんか?

〇ウェイはみんなで一緒に良い商品をまだ知らない人に教えてあげる仕事です。サボるのも頑張るのもあなた次第。ノルマもありません。

ボーナスの形態は・・・・・・・(複雑すぎて理解してません)

とにかく売れば売るほど高額になるシステムです。





卒業して、就職して会社というものがどんなものなのか狭い視野ながらもおぼろげに理解し始めた頃のこのビジネスシステム。

当時はマルチ商法と呼ばれ、ねずみ講同様に悪の商売と思われがちでしたが

最近はネットワークビジネスと呼ばれ合法的な連鎖商法として確立しています。

その頃はインターネット環境がありませんでしたからPCで「アムウェイ」と打って検索なんてできなかったんです。

いや、インターネットはあったんですがまだアナログで回線接続 ピーヒャーガラガラガラガラ

ジーという時代。  アムウェイなんて検索しても何もヒットしないのです。 

正しいも正しくないもわからず、なんとなく2回目のミーティングへと出席します。




当時、営業に出始めの私

営業のエの字もわからずとにかくお客さんのところへ行く毎日。

この2回目のミーーティングが一気に私を惹きつけます。












北海道で経団連に加盟している企業を知っていますか?

(そんなの知らない・・・たくさんあるんじゃないの?)

拓銀(当時)だけなんですよ。

へぇー・・・・知らんかった。





世界で最初に宇宙へ行こうとしている企業を知っていますか?

(世界の企業全部しらないし・・・・・)

ペプシなんです。(当時)

そうなんだぁ・・・・


なんか、こういう意外な話とか、知ってそうで知らない話とか、興味深い話が盛りだくさん。

仕事をする意識のこととか、アムウェイの会員の内訳、幽霊会員、買い物会員、ビジネス会員

なるほどなるほどなるほどばかりなのです。



そういった意識や姿勢、考えかたは昼間の通常営業にも活かされる事が多く、夜のミーティングに欠かさず出席するようになります。




とはいへ



私が欲しいのはそのなるほど情報であり、アムウェイの商品ではなく、ビジネスでもない。



そして、自分も嫌がるのを無理に勧誘された経験から、友人知人、誰一人紹介する事無く月日は経ちます。


私を紹介した姉の友達であるRちゃんはビジネスに全力上げており、比較的おしゃべりが達者な私に期待していたらしく、


どーして誰も紹介しないの?


友達なくしそうだから。とは言えず、いやぁ時間がなくて・・・・


このとき、Rちゃんは自分のアップライン(紹介してくれた人)に私が誰一人紹介しないことを相談していたらしく、私が車バカであることからガソリンスタンド出身のパールだったかダイヤだったか忘れましたが車に詳しいお偉いさんを紹介してくれました。


あ、どうもはじめまして。

全然誰も紹介してないんだって?

あぁ、はい、会社が忙しくて全然友達にも会えてないんですよねぇ。





やさしく、やんわり諭されるのかと思っていたら、いきなり中学の先輩みたいな口調でこう帰ってきました。




そんなの嘘だよ!やる気の問題だね。一日何時間寝てる?テレビは見てない?会社終わるの何時?朝は?一日1時間も時間取れない?絶対に?


いやぁ・・・・そのぉ・・・・



時間は自分で作るものだからね。



そこらへんからもう言い訳できなくなり、ミーティングに参加するものの、上からの紹介しろプレッシャーが激しく、段々足が離れていきます。

当然、ノルマも無ければ強制でもないのですが、一緒に頑張ろうオーラが物凄くて、逆に強制のほうが気が楽だったかも知れません。



そんなこんなで一切誰も紹介せずにアムウェイは進んでいったのですが、当時私は縁あってE32の750に乗っていました。 


BMW7シリーズの5000ccV12気筒


過走行で超安く売ってもらった車でしたが、当時の友人知人は勝手に勘違いを始めます。







アムウェイで儲かってるんだって?


いや、全然儲かってないよ。


俺も連れてってくんない?


いや、間違ったら友達居なくなるからやめたほうがいいよ。


大丈夫だって、紹介してくれって。


いや、ほんとにアムウェイで儲かってないって!


なんでそんなに隠すのよ?


隠してないって!


そんな珍しいパターンもあったりして・・・


いい経験をさせてもらいました。



その後私はアムウェイの商品を買うことも無く、紹介する事もなく。年会費がもったいないので退会し、入会金もちゃんと返してもらいました。




当時は仲良しに実際毎月4.50万収入がる人もいましたし、毎月100.200の収入がある人もいました。

ダイエーの営業マンから成功した、名前は忘れたけどダイヤの人とかは芸能人扱いでしたよ。



私も最初は何か矛盾があるだろうとか、洗脳の方法がとか斜めに見ていましたが

そういうことではないんです。


サーキットか?山登りか?ぐらいの違いで

いいから一緒に山登りやろう! 山登り最高だから!一回イベントに来て。来れば考え変わるから! どーして? なんで? 異常にしつこければ友達なくすのと同じです。

ただ、山登りイベントの性質上友達を紹介する事が前提だから山登りしたい人は一生懸命勧誘するのです。


時間がある人は一度付き合ってみるのもいいと思いますよ。

視野が広がるというか、いろいろな意味で勉強になるし。




ところで

あのフェラーリの友達ですけど、今は普通にサラリーマンしているそうです。












 
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