寒いですねぇ

 

今日は降るかもしれないそうですね

 

そんな時期なんですねぇ

 

まだスノーボードをやっているころは街で雪の噂が出ればスキー場はすでにOPENしてますから

 

当然スタッドレスに交換済みで

 

へたすりゃ何回か滑りに行ってるぐらいの元気の良さでした

 

当時はランクル80なんて高級なRVに乗っており

 

ウィンチも装備

 

道なき道を突き進むのが楽しくてしょうがない

 

朝一から国際スキー場で滑りに滑り

 

15時ぐらいに切り上げて帰路に着く

 

道の途中で雪深い広場を発見

 

何の目的もなく進入した

 

乗っているのは学生時代の友人、男二人と女二人

 

雪の下に切り株があったらしい

 

これはやばいと思い引き返そうとするがまぁまぁの傾斜があり戻れない

 

切り替えして転回しようとするも、他にも切り株がありそれも駄目

 

止むを得ず 下り方向に切り株を腹下にガッツリ擦りながら下がる

 

それでも 横は向けなくて下にしか行かない・・・

 

ついにウィンチで横方向に引くものの 切り株が完全に車体をロックする

 

やばい・・・・

 

 

もう30メートルも下ってきただろうか

 

入ってきた入り口は見上げるほどの高さだ

 

このまま下って行っても送電線の鉄塔と恐ろしく急流の川があるだけ

 

なんとか方向転換できればウィンチで上っていけるんだけど・・・・・

 

それでも 切り株は無数にあり

 

ウィンチで引っ張っても抜けないし

 

方向転換もできない

 

やばい・・・・

 

もう日没になる

 

 

このまま暗くなったら・・・・・誰か呼んで牽引とかいうレベルではまるでない

 

 

あがけばあがくほど車は下がる一方

 

その場で埋まりそうになるのでウィンチを使えば下るしかない

 

もう薄暗くなってきた

 

みんな車から降りて雪解けの水がひざまで到達している

 

靴は当然ビッショビショ

 

スノーボードの準備しかしていないのだ

 

当時は携帯電話が復旧しておらず助けを呼ぶにも歩くしかなかった

 

私、公衆電話探してくるね。 と女子二人

 

男二人はなんだかんだとあがいている

 

結局 車は傾斜の一番下まで落ちてしまい

 

ボンネットの高さと同じ段差に到達

 

つまりこういうことだ

 

高さ30cm縁石は簡単に乗り越えられるけど

 

高さ1mの縁石は乗り越えられないという状況

 

仮にその1mの段差を乗り越えても、そこには送電線の鉄塔があるだけでその先は進めない

 

入ってきた入り口とは恐らく30mぐらいの高低差

 

JAFを呼んだら20万か30万ぐらいかかるかなぁ・・・・

 

それよりなによりもう日が暮れて寒い

 

足が冷たくて痛い

 

時間は18時を過ぎていただろうかもうすぐ真っ暗になりそうな感じだった

 

同乗していた3人にとってはとんでもなく迷惑な状況である

 

無意味に広場へ入って行っての巻き込みだから

 

無知なままウィンチがあればどうにでもなると思っていた

 

まだ、 予備のワイヤーもシャックルもスナッチブロックも知らずに・・・・・

 

正に若気の至り

 

車を放置してとりあえずタクシーか・・・・

 

そんなことを考え出した頃

 

女子二人が戻ってきた

 

「車屋さんがあった。助けてくれるって」

 

いやぁ・・・普通の牽引では無理なんだよなぁ・・・この状況見たら駄目だって言うだろうなぁ

 

ほどなくしてその車屋さんが登場する

 

現場をみて彼はこう言った

 

「どうしてこんなとこ入ったの?」

 

今の私でも同じことを言うと思う

 

しかし、以外だったのはどうしようもない現状を見ても全然普通だった事

 

ちょっと一回戻るね。

 

彼は一度会社へ戻りスナッチブロック、延長用ロープ、ハンドウィンチ、を装備してきた。

 

いやぁすみません。ありがとうございます。でも、出られますかね?

 

うーん、難しいけどなんとかなると思うよ。

 

ほんとうだろうか・・・・・ 本当であってほしいものの、クレーンも大型ウィンチも無く、自力で脱出しようとしているのだが・・・・

 

このボンネットの高さもあるようなバンパーよりも高い土手をどうやって・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

バンパーとか曲がったりするかもしれないけど・・・いいかい?

 

 

全然いいです。出られるなら屋根が凹んでもかまいません。

 

 

すると鉄塔にスナッチブロック

 

純正ウィンチはからのワイヤーは鉄塔に向かう。足りない分は延長ワイヤーでスナッチブロックを介し車へと戻ってくる

 

そのまま引いてもバンパーが土手に突き刺さりとてもワイヤーが土にもぐっていくだけ

 

すると・・・・・

 

彼はハンドルを切りながらウィンチを巻いたり緩めたりアクセルを開けたり・・・・

 

 

 

アッ

 

 

 

車が垂直方向に上がった・・・

 

少し 跳ねるように前輪がぬかるみから顔を出しそのまま一気に1mの土手の上にタイヤがかかる

 

 

 

 

まじか・・・・・

 

 

こんなことが出来るのか・・・・・・

 

 

 

ウィンチのWラインとかトリプルラインとかを知ったのはこの頃だったかもしれない

 

 

日はもう沈み ほぼ真っ暗

 

 

ライトの明かりがなんとなく周りの人を照らしている

 

 

さて、車は鉄塔の下に来た

 

ここで転回するにも車はかろうじて鉄塔の真下に入れるが余裕は10cmほどしかない

 

仮にそこで転回できたとしても今までウィンチで引きながら下ってきた切り株だらけの空き地を登るには日中でも3時間以上かかりそうだ

 

まして暗闇では無理だ

 

結果として

 

ランクルは鉄塔の真下にもぐり

 

180度転回するのではなく

 

何度も何度も10cmほどのクリアランスを酷使して90度角度を換え

 

恐ろしく急流の川へとノーズを向けた

 

行くのか・・・・・

 

 

鉄塔の真下から川へ向かっては更に1mほどの段差(堤防)になっている

 

勢いをつけないと1m段差は上れない

 

しかし、勢い余ると間違いなく車ごと一気に流しそうな急流が待っている

 

彼に躊躇はなかった

 

ブォーンブォーーン!!

 

堤防の上までまるで手足のように車を動かした

 

そこで右にハンドルをきり

 

左に滑れば急流

 

右に滑ればさっきの切り株畑

 

よほどの自信があったのか、早く終わらせて帰りたかったのか、とにかく話が早い

 

みるみるうちに車は堤防とも呼べない細い土手を走りきり 元の入り口横へと到着した

 

 

何度 「ありがとうございます」と言ったかわからない

 

さらにお店へ連れて行ってもらい カレーまで食べさせてもらった。

 

毛布がないから、とタオルを何枚も貸してくれて。

 

足が冷たくて、みんなガクガクするほど体の芯まで冷えてたらから 本当に「助かった」というのが適当な言葉だった

 

しかし車が縦に持ち上がったのは感動した。

 

なにか競技でもやられてたんですか?

 

あぁ、むかしちょっとね。

 

 

 

 

 

 

 

 

英雄は意外にと近くにいるようです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IMG07738.jpg

 
この記事のトラックバックURL
ボットからトラックバックURLを保護しています